ヤクザ、冤罪、障害者プロレス......春休みはドキュメンタリー映画を。
こんにちは、編集長のたかたです。
今日でテスト期間も終わりですね。みなさんお疲れ様でした。
テスト期間が終わったということは2ヶ月の春休み!
「何をしようかな」と考えている方も多いのではないでしょうか。
そんな方々にオススメしたいのが「ミニシアター系映画」。
ミニシアターとは、TOHOシネマズのようないわゆるシネコンとは違ってかなり規模が小さく、上映する映画を独自にチョイスしている映画館を指します。
それゆえ大規模な映画館では採算が合わず上映できないようなマイナー映画を見ることができるのです。
特にオススメしたいのがドキュメンタリー映画。地味でニッチになりがちなだけに大手映画館では上映しにくいのですが、 ミニシアターでは様々な種類のドキュメンタリー映画を上映しています。
全国的にミニシアターの数が少なくなっているらしいのですが、東京にはまだこれだけのミニシアターがあります。(Wikipediaより抜粋)
角川シネマ有楽町(千代田区)
ヒューマントラストシネマ有楽町(千代田区)
岩波ホール(千代田区)
神保町シアター(千代田区)
シネスイッチ銀座(中央区)
キネカ大森(品川区)
シネクイント(渋谷区)
ル・シネマ(渋谷区)
ヒューマントラストシネマ渋谷(渋谷区)
ユーロスペース(渋谷区)
アップリンクファクトリー/UPLINK-X(渋谷区)
シアター・イメージフォーラム(渋谷区)
渋谷HUMAXシネマ(渋谷区)
EBISU GARDEN CINEMA(渋谷区)
新宿武蔵野館(新宿区)
シネマート新宿(新宿区)
新宿シネマカリテ(新宿区)
テアトル新宿(新宿区)
K's cinema(新宿区)
シネ・リーブル池袋(豊島区)
短編映画館トリウッド(世田谷区)
ポレポレ東中野(中野区)
多いですね。国立周辺にはなくて残念ですが......(立川シネマシティはシネコンですが独立系の映画館なので多少マイナーな映画もやっています。)
そして僕が今回行ってきたのは最後の「ポレポレ東中野」。
「東中野?どこ?」って思う人もいるかもしれませんが、一応中央線沿線です。各駅停車しか止まりませんが......。
場所はこんな感じ。駅から線路沿いに歩いて5分もかからないのですが、「こんなとこに本当に映画館あるの......?」と不安になるところにあります。地下でなんか入りにくいし。
こちらのポレポレ東中野では主にドキュメンタリー映画を中心に上映しています。
そこで今回は、ポレポレ東中野で現在公開中のドキュメンタリー映画3作品をご紹介します!
暴力団対策法、暴力団排除条例が布かれ、ヤクザは全国で6万人を割った。この3年で2万人が組織を離脱した。しかし数字だけでは実態はわからない。ヤクザは、今、何を考え、どんな暮らしをしているのか? 大阪の指定暴力団「二代目東組二代目清勇会」にキャメラが入る。会長が15年の実刑判決を受けた殺人事件は暴対法のきっかけだとも言われる。組員の生い立ちとシノギ、部屋住みを始めた青年と実の子のように可愛がるオジキ、そして、組員の逮捕、家宅捜索の瞬間がやってくる…。会長は「ヤクザとその家族に人権侵害が起きている」と語りはじめた。ヤクザと人権…。一体、何が、起きているのか? 銀行口座がつくれず子どもの給食費が引き落とせないと悩むヤクザ。金を手持ちすると親がヤクザだとバレるのだ。自動車保険の交渉がこじれたら詐欺や恐喝で逮捕される。しかし、弁護士はほとんどが「ヤクザお断り」…。日本最大の暴力団、山口組の顧問弁護士が、自ら被告になった裁判やバッシングに疲れ果て引退を考えている。「怖いものは排除したい」。気持ちはわかる。けれど、このやり方でOKなのだろうか? 社会と反社会、権力と暴力、強者と弱者…。こんな映像、見たことない!? 強面たちの知られざる日常から、どろりとしたニッポンの淵が見えてくる。
まずは僕がポレポレ東中野に行くきっかけとなった映画。
いわゆる「ヤクザ映画」ではなく、ホンモノのヤクザを撮影したドキュメンタリー映画です。
ヤクザから撮影許可を得て事務所の中を撮影し、暴力団対策法施行後のヤクザの生活に密着した作品となっています。
ちなみに密着したのは大阪の指定暴力団「二代目東組二代目清勇会」(東組の下部組織の清勇会)です。
こちらの予告編を見てもらえればわかると思いますが、すごい迫力と緊張感です。
ヤクザに向かって「拳銃はないんですか?」とか聞いたり、部屋にカメラが入ろうとして怒られたりしていてヒヤヒヤしてしまいます。
その一方で「親がヤクザだからと言って子供が幼稚園に入れない」と嘆く組長。
そう、暴力団対策法や暴力団排除条例の施行以降、ヤクザの生活は困窮しているのです。
最近はどんな契約書を見ても「反社会的勢力との関わりはありません」という項目がありますよね。今のヤクザは弁護士を雇えない、車を買えない、口座を作れない......。
「悪いことをしている集団なのだから当たり前じゃないか」とか「怖いから排除したい」などと思うのも当然かもしれません。
しかし日本は立憲国家。憲法では第14条に
と示されています。「臭いものには蓋をする」という考え方で本当に良いのでしょうか?
「そんなに困ってるんだったらヤクザをやめればいいじゃないか」とも思うかもしれません。僕もそう思いました。
しかし彼らはやめたくてもやめられないのです。そんな簡単な問題ではないのです。
日本社会が抱える闇に迫ったドキュメンタリー、是非劇場でご覧ください。
(作品の性質上DVD化は難しいとされているので、見るなら今ですよ!)
~2/5(金) 12:20/14:40/18:40
2/6(土)~19(金) 12:20/14:40/16:40/18:40
2/20(土)~26(金) 16:20borde
2/27(土)以降未定
料金
一般 1800円/大・専 1500円/
シニア 1200円/高・中 1000円
2014年3月27日、ひとりの死刑囚が釈放された。
袴田巌(79歳)
昭和41年、静岡県清水市(当時)の味噌会社で4人の焼死体が見つかった「袴田事件」。袴田は確定死刑囚となった。再審開始の決定は、有罪の決め手になった血に染まった衣服のDNA鑑定の信憑性。48年ぶりに釈放された袴田は、3歳年上の姉と生活を始めた。しかし、自由になったはずの袴田も、検察の即時抗告によって再審は始まっていない。いまだ死刑囚であることに変わりはなく、年金もなければ、選挙権もない。長年の拘置所生活による拘禁反応で、精神に障害が残っている――。
2015年10月4日、ひとりの死刑囚が獄死した。
奥西勝(享年89歳)
昭和36年、三重県名張市の小さな村の懇親会で、ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡した「名張毒ぶどう酒事件」。奥西は35歳で逮捕され、死刑が確定したが、獄中から無実を訴え続けた。半世紀に及ぶ独房生活、その間、奥西は2桁を越える囚人が処刑されるのを見送った。ここ3年間は、八王子医療刑務所で寝たきりの生活を送っていた。奈良県の山村に暮らす4歳年下の妹は無実を信じ、片道5時間かけて兄のもとに通い続けていた――。
ふたりの冤罪を訴え続ける死刑囚とその家族の人生から浮かび上がるのは、「法治国家」日本の司法が裁いた、否、犯した罪だ。製作は東海テレビ放送。『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』の齊藤潤一が本作をプロデュースし、そのメガホンを鎌田麗香が引き継いだ。同作で奥西勝を演じた仲代達矢がナレーションをつとめる。奥西の無念の死を受け、緊急公開を敢行する。
『ヤクザと憲法』と同じ東海テレビが制作したドキュメンタリー。
「袴田事件」で死刑判決を受け、その後再審決定により釈放されたものの再審自体は未だに始まらない、すなわち死刑囚のままである袴田巌。
「名張ぶどう酒事件」で死刑判決を受け、同じく再審が始まらないまま獄死した奥西勝。
二人とも数々の冤罪疑惑があるにも関わらず何故か再審が始まりません。
袴田さんは48年にもわたる拘留生活によって拘禁反応が収まらず、一日中家の中をウロウロ。
そんな袴田さんを支えるのは姉の袴田秀子さん(81才)。自分の人生のほとんどを弟の巌さんを助けるために費やし、釈放された現在も世話を続けています。
秀子さんの支えもあって段々と症状も回復し、今では外出もできるようになったものの巌さんは未だに死刑囚。万一再審決定が取り消しになれば再び拘留生活に戻る事になります。
奥西さんは何度も何度も再審請求が行われたもののなかなか受理されず、2015年10月4日に無念の獄死。
再審を訴え続けたのは妹の岡美代子さん(85)。現在奈良県に住み、奥西さんの収容されている八王子医療刑務所まで片道5時間かけて面会を重ねていました。
二人に共通するのは数々の冤罪疑惑。中には明らかに検察が捏造したと思われる証拠までありました。
そうした疑惑がありながら裁判所は何故再審を行わないのか。どうして二人の人生を奪うこととなってしまったのか。
皆さんも2つの事件の名前くらいは聞いたことがあるかもしれませんが、当事者や支援者がどんな思いで、どのように生きているのかを知る機会はなかなかないと思います。
この映画で日本の司法が「犯した罪」について考えてみてはいかがでしょうか。
~2/5(金) 10:20/16:40
2/6(土)~19(金) 10:20
料金
一般 1800円/大・専 1500円
シニア 1200円/中・高 1000円
矢野慎太郎=“サンボ慎太郎”は、清掃員の仕事をしながら「ドッグレッグス」のスター選手として活動している。リングでの20年に及ぶ輝かしい歴史とは裏腹に、年を取った彼は、レスラーを引退し“普通”の夢を追い求めたいとも考えている。
しかし、「ドッグレッグス」代表の北島行徳には、別の計画があった。 慎太郎の最も古くからのライバルである北島行徳=“アンチテーゼ北島”は、「20年間障害者を打ちのめし続けてきた健常者」と言われている。 彼は、慎太郎からの「最後にアンチテーゼ北島と対戦し引退したい」という挑戦を受け、「勝者だけが引退できる」という条件を付け承諾する。北島に対する慎太郎の連敗記録を考えれば、その結果は自ずと見えているようなものだった。
もう一人の「ドッグレッグス」レギュラーで、女装癖のある伝説のレスラー・“愛人(ラマン)”。彼にはほぼ全面的な麻痺があり、妻=“ミセス愛人(ミセスラマン)”と息子=“プチ愛人(プチラマン)”の反対にも関わらず症状を酒でごまかしていたため、重度のアルコール中毒でもある。 「ドッグレッグス」のために生き、「俺はリングの上で死ぬんだ」と呟く“ラマン”。そんな彼を見つめる“ミセスラマン”は、彼の意志と彼の命、そのどちらを尊重するのか?
そんな“ラマン”に酒を注ぐ男。介護士の中嶋有木。 彼にはいわゆる外面的な障害はないが、臨床的に鬱病と診断されている。精神障害を「認めてもらうこと」「尊重されること」を求めてリングに上がるが、鬱とレスリングが起こす化学反応は未知数だ。
慎太郎は日常を過ごしながら、彼の夢に向け練習を重ねる。 仕事を次のステップに進めるための試験。密かに抱き続ける女性への想い。彼を見守る先輩との何気ない会話。「やっと引退してくれる」と呟く母…。 そして、“サンボ慎太郎”と、彼の「影」のような師=“アンチテーゼ北島”との世紀の一戦がいよいよ近づく─。 「ドッグレッグス」は観衆に問いかける。 “障害”とは何なのか、そして、それは誰が決めるものなのか…。
テーマは「障害者プロレス」。
25年の歴史を持つDOGLEGSという障害者プロレス団体に外国人監督が密着し撮影したドキュメンタリー映画です。
知的障害者、身体障害者、精神障害者、そして健常者が一緒にリングに上がり容赦なしの闘いをするのです。
予告編ではあまりわからないかもしれませんが本当に容赦なしです。健常者が障害者をボコボコにします。
何故彼らがそんなことをするのか。もちろん虐めたいからではありません。障害者も必死に闘い、自らリングに上がるのです。
そんな彼らに「障害者だから」と言って同情をするのではなく、本気で応える。それがDOGLEGSです。
中心となるのはDOGLEGSのスター選手であるサンボ慎太郎。軽い脳性麻痺を抱え、うまく話せず、体もお世辞にもガッチリしているとは言えません。
そんな彼のライバルであり、DOGLEGS創設者であるのが健常者のアンチテーゼ北島。彼は「一般の障害者団体に馴染めない障害者の居場所を作りたい」という思いでDOGLEGSを立ち上げます。
他にも全身麻痺とアルコール中毒を抱えるラマンや鬱とガンを抱える中嶋有木など、それぞれがそれぞれの思いでリングに立ち続けます。
正直見る前は「痛々しくて見ていられないのではないか?」と思い躊躇したのですがそんなことはありませんでした。
健常者が障害者をボコボコにするシーンはやはり目を瞑りたくなってしまいますが、必死に闘う障害者たちの熱い姿に心を打たれるのです。涙なしには見られません。
障害に対し「同情」の目で見るのが本当に正しいのか?私たちは自然とそういう目で見てしまっていないか?
とても考えさせられる映画です。
~2/5(金) 21:00
2/6(土)~19(金) 20:40
2/20(土)以降未定
料金
一般 1700円/大・専・シニア 1300円
/障害者 1000円 /高・中・小700円
いかがでしたでしょうか?
どの作品も今しか見られない可能性が高いので、「春休みになったけど特にすることがない......」と思っている人はいますぐポレポレ東中野に行ってみては!
その他の上映予定についてはポレポレ東中野公式サイトまで。
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