クリスマスには、1冊の本を。
どーもみなさまこんにちは、ライターのおーば、改めOBAです。
この機会にライターネームをマイナーチェンジしました。
今後ともよろしくお願いいたします。
さてさてみなさん、早速ですが、一橋大学附属図書館1階の一角で行われているこちらの企画はご存じですか?
題して「No Title Book」。
本の表紙を隠して、抜き出された一節だけを見て本を選ぶこちらの企画。
行っているのは、古本リユース空間「えん」を運営されている、チーム・えんのしたさんです。
~古本と人がはっと出会える空間~
「えん」は学内外から古本を集めた古本リユース空間です。
(ちなみに「えん」は縁・円・environmentを、“環”は環境・循環を表しています。)
「No Title Book」ってどんな企画?
そもそも「えんのした」ってどんな団体?
クリスマスを今週末に控えてなんとなくそわそわしてしまう、そんな少しトクベツな週の初めに、「えんのした」のみなさんが行っているクリスマスフェアと「本と人」の素敵な出会い方について、お話を伺ってきました。
――ヒトツマミ編集部です。本日はよろしくお願いいたします。
佐藤さん「『チーム・えんのした』副代表、社会学部2年の佐藤と申します」
角田さん「今回『No Title Book』の責任者を務めました、商学部4年の角田といいます」
永喜さん「フリーペーパー『TakenoCo』の編集者をしていました、永喜といいます。よろしくお願いします」
(以下敬称略)
――早速ですが、そもそも「えんのした」は普段どういったことをされているのですか。
佐藤「『えんのした』は、普段は図書館で古本のリユース活動をしています。図書館様の空間を一部借りて、平日の10時30分から17時、月火水木金に運営を行っています。メンバーは30人ほどです。
古本は、図書館前の箱に入れられたものを回収するほか、『青空古本市』にでて屋外で回収したり、一橋祭で回収したり。古本の寄贈は普段から受け付けていますよ。教授に連絡を取り回収することもあって、そのようなときは直接研究室に出向き回収します。
直近だったら、落合先生という社会学部の、退官される先生がいて。夏に取りに行かせていただきました」
――そういった普段の活動に加えて、「えんのした」ではフリーペーパー「TakenoCo」も出されていますよね。あちらはどういった目的でされているのですか?
佐藤「『えんのした』の広報、という目的もあるのですが、本にかかわる活動、ということで、学生の本に対する意欲を少しでも向上できればいいな、と考えています」
永喜「出す時期によっては新歓もテーマにします」
(一番左のものが最新号。表紙は兼松講堂横の芝生で撮影したとのこと)
角田「今回のコンセプトは『本が人を選ぶ』です」
――これから考えている企画とか、ありますか?
永喜「次の号については、あまり考えていないのですが……やりたい人が集まればやる、という感じですね」
角田「本当にいろんなことをやっています。『教授にお勧めの本を聞く』とか『東京のブックカフェ』とか。やりたい人がやりたい企画を持ち込んで作る感じです」
――「TakenoCo」を作るうえで大変だったことってありますか?
永喜「人をまとめることが、やはり大変です。海外行って音信不通になったりもしましたし(笑) 基本は春秋に作っているので、モニター留学とか、留学に行っているメンバーが多くて。そういう人たちをうまく使ってできる限りのことをやっていこう、と考えました」
きっかけは、1冊の本
――では「No Title Book」に話を移したいと思います。
そもそも、何故この企画を立ち上げようと思ったのですか?
角田「僕は今4年生なのですが、就活中にずっと本を読んでいたんです。その中の、一橋大学商学部卒の内沼晋太郎さんの『本の逆襲』という著作で、『No Title Book』の元になる企画に出会いました。それを読んで、僕もやってみたいなと思いました」
『本の逆襲』(一橋大学図書館蔵) ※画像引用元:アマゾン
内沼晋太郎→ウィキペディアはこちら
――クリスマスに合わせて、すごく雰囲気の出るようなラッピングもされていて。
角田「偶然だったんですけど、何をやるか10月くらいから考え始めていて、そこからいろいろミーティングを重ねて行く中で案が出てきました。本って、自分で買うだけじゃなくてプレゼントでも買うじゃないですか。そういう贈り物的な感覚で持って行ってもらえればいいなあと。それとクリスマスを掛け合わせて」
永喜「この企画のアピールポイントとして、小説を届けられることも挙げられます。図書館って学術書ばかりじゃないですか」
――今のところ、反響はどんな感じなのですか?
角田「それが、意外といいんです」
佐藤「そうですね。置いてあるのに持って行ってもらえなかったらどうしよう、と思っていたのですが(笑) やっぱり人目を惹くんでしょうか」
角田「ラッピング、うまく包むのが難しかったけれどね」
――一冊一冊、すごく時間がかかっていますよね。まずは本を選んで、それから一節を抜き出して、さらに丁寧に包装もされて。
角田「やっぱり、学生レベルだからってきたないものは出せないじゃないですか。こちらが推しているものなので、ちゃんとしたものを作らないと」
(添えられるのは、誰かに興味を持ってもらえる一節)
――ちなみにこちらは、在庫がなくなってきたらまた増えるのですか?早い者勝ちでしょうか。
佐藤「この企画自体が来週までなんです。25日のクリスマスまで。一応在庫は増やしてTwitterで告知はしたので、また来てくれる人が増えたらいいなあと」
角田「最初は9冊ぐらいだったのですが、そこからだんだん冊数を増やしています。一人で2冊持っていかれる方もいたりして、正直困ったことも(笑) 切らしてしまわないように、在庫はまだまだ作り続けていきます」
――うれしい悲鳴ですね。実際にこの企画をやってみて、どうでしたか?
永喜「この企画は特に誰の仕事ということがなかったのですが『好きな本置いて、抜き出した一文書いて』とメンバーに伝えたら、本がどんどん増えました。みんな自主的に、各自で作っているんです」
角田「僕の願いとしては、僕らが勧めるんじゃなくて、訪れた人に勧めてほしい。そういう企画も考えたのですが、今回はそこまでいけなくて。
たぶん誰しもそれぞれの『勧めたい本』があったりするので、そういう本で今後何かをやっていけたらいいなと思います」
移転をきっかけに
角田「実は『えんのした』ってもともとは違うところにあったんですよ。」
永喜「去年は図書館入り口手前の、右側の扉の奥でやっていました」
角田「去年の冬に、場所を移動することになって。活動場所が一度なくなってしまったときは『これからどうしよう?』と考えました。なんとか図書館の方にお願いして今のえんのしたのブースを使用させていただけることになったのですが、やはり以前のように人が集まらないんです」
――では、今のような形の「えん」は、本当に最近できたのですね。
佐藤「はい。今の形になり、面積自体も昔より小さいし利用者も減っている、という問題意識があったんです。
その中で、じゃあただ本をあげるだけじゃなくて少しアレンジしてみないか、という発想があり『No Title Book』という企画をしてみた、という経緯もあります。
あとは『青空古本市』も、活動場所がない間も何とか古本と接する機会を作っていこう、と去年の冬学期から行いました。もともと企画自体はあったのですが、これまではなかなか頻繁には行われていなくて。場所を移転したことをチャンスとして使ってみないか、と恒例化していきました」
読める本なのに、捨てるのはもったいない
――『No Title Book』のアピールはありますか?
角田「ほんと、学術書だけじゃなくてもっと小説を読んでほしい。それだけなんです。本を探す為に行くのではなく、本に出会うために『えん』に訪れていただければと思います」
永喜「『No Title Book』も『TakenoCo』も、『えんのした』と『えん』のアピール、というのがやはり大元にあります」
佐藤「そうですね、『えんのした』の理念自体が『本が捨てられるのはもったいない』ということなんです。読める本なのに捨てちゃうなんて、と。
『本を通じて、本と人が出会う』ことを促進していく、というのが『えんのした』の役割。
『No Title Book』も、ふらっと訪れて『えんのした』が選んだ本を手に取る、という普段はしないような本との出会い方を通じて、本って面白いな、と興味を持ってもらう機会になればと思っています」
永喜「『えんのした』という名前には、『縁のしたの力持ち』としてそうしたことの手助けをする、という意味もあると思います」
角田「『新しい本との出会い方』を、ぜひ、楽しんでください」
――今後の『えんのした』の企画も楽しみにしています。
本日はどうもありがとうございました!
さて、みなさんいかがでしたか?
「えんのした」は、図書館本館から雑誌棟に向かう途中、印刷機の奥にあります。
Twitterはこちら。
【宣伝】小説の中の一節や宣伝文句を印字した小さなカードを本に添え、その情報だけで本を選んでもらう。 “No Title Book”、開催中です。 pic.twitter.com/o5Y2qegkO0
— えんのした 一橋大学 (@en_hit) 2015, 12月 11
クリスマスまであとわずか。
例えば寝る前、たとえば帰りの電車で。
「えん」で出会うステキな本と過ごしてみるのはいかがでしょう?
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