夏の読書学概論 ~文系単科大生だからこそ読みたい理系本5選~

今こそ高めよ、理系力。


画像引用元:Amazon http://www.amazon.co.jp/

      きらら舎 http://kirara-sha.com/ 

 

 



おはこんばんにちは、おーばです。


 

 

夏休み6日目ですね。

みなさん、謳歌していますか?


 

わたしは、TwitterのTL(※タイムラインの略。最近知った)を流れてくる花火大会の感想に悲しみを隠せなかったとき以外は、概ね楽しんでいます。流れてくる画像を「飯テロ」ならぬ「花火テロ」と名付けてみたら、語感の悪さにさらに悲しくなりました。どうでもいいですね。



さて、先日、一橋大学でオープンキャンバスがありました。受験生、懐かしい響きですね。みなさんの中にも「高校生の頃参加したよ!」という方、多いんじゃないでしょうか。

私もその一人です。

一橋大学以外にも、夏休み中、いくつかの国立・私立大学のオープンキャンバスに参加しましたが、雰囲気を比較してみて、ふと思いました。




……あれ、一橋って、理系いなくない?




そうなんです。

最近では、最早当たり前のようにこの環境を受け入れていますが、他多くの大学には理系が存在しているんです。理系が構内を闊歩しているんです。研究室に遊びに行くと、ビーカーとアルコールランプでコーヒーを沸かしてくれる教授がいるかもしれませんし、白衣をたなびかせて颯爽と廊下を駆けるイケメン研究員と、食パンをくわえながら衝突する朝があったかもしれません。いつもヘルメットとゴーグルを着用していて、「初速度が……」と呟きつづける謎の名物院生の噂が流れてきたり、講義に出たら周りが全員チェックシャツ、というエピソードを学内で聞けるのかもしれません。突然、道に壁にと数式を書き殴り出す教授がいるかもしれませんし、そんな教授の元を訪れる新人女性刑事(※美人)とお知り合いになれるかもしれません。3日に1度爆発音が聞こえる謎の実験室があるかもしれませんし、夜中にモゾモゾと動き出してはディスコダンスを繰り広げる、人体模型やらカエルのホルマリン漬けやら細胞inシャーレやら標本やら化石が保管されているかもしれません。

偏見です。


 

こんな風に、理系に対する過大誇張虚偽妄想をこじらせる前に、なんとかしましょう。


 


というわけで、夏休み6日目、本日のヒトツマミ記事は「夏の読書学概論~文系単科大生だからこそ読みたい、理系本5選~」です。

理科はセンターまで、苦手科目は数学、という文系生でも大丈夫、かつ、とにかくすらすら軽く読めて面白い、娯楽的要素を含む、を基準にセレクトしました。イメージでいうと、サクっふわっ、でしょうか。お菓子の宣伝ではありません。


 

 

合言葉は「理系は友達、こわくない」

これを読めば、あなたも理系大生の仲間入り。「花火テロ」に対して秀逸な炎色反応ツイートだって、出来るようになるかもしれません。無理ですね。


 

それではさっそくいってみましょう。


 

 

 


第1講:帰省前に読むことを勧めます。


 二階から卵を割らずに落とす方法


ショーン・コノリー/

ディスカヴァー・トゥエンティワン

 

先日、【ヒトツマミ流 夏休みのしおり】で自由研究を特集しましたが、覚えていますか?

この本は、一言でいうと、


 

「科学史に残る理論、全部やってみた」


 

たとえば、

 

・望遠鏡や顕微鏡、作ってみた。

・紙コップでお湯を沸かしてみた。

・遊園地でバイオメカニクスしてみた(被検体=自分)。

 

とかとか。ヒトツマミに通ずるものがありますね(=ユー○ューバ―感)


 

この本と、小学生の夏休みに出会えていれば……と思わずにはいられません。きっと、自由研究強者になれたでしょう。


 

けれど、これだけなら、割とありがちな小学生の自由研究アイデア集。

一橋大生に推したいポイントは、読み物としての面白さ、でしょうか。


 

絵本みたいなページを繰っていくと、歴史の流れに沿って話が進んでいきます。たとえば「シュメール人の大発明」だとか、「敵国でなく天を撃て」だとか、世界史選択者も、そうじゃない人も、文系感覚で楽しめちゃう内容なんです。読んでみれば、社会の勉強が楽しかったころの「意識高い系なわたし」がカムバックです。

文体自体が軽いので、サクッといけちゃうのもいいところ。


 

本のサイズ感や装丁もカジュアルでオシャレなので、気軽に楽しめること、間違いなし。


 

 

ついでに、帰省前に読んで、悩めるいとこの小学生の夏の自由研究にアドバイスをしてあげて、「お兄ちゃん、すごい!」の尊敬を勝ち取ってきましょう。ここ大事。


 

 

 

 

 


第2講:※クマムシは生物名です。


 へんないきもの


早川いくを/作

新潮社


タイトルから、もう、コイツタダモノジャナイ感にあふれています。

なにがすごいって、本文全体としてのくだらなさです(※褒めています)

内容はタイトル通り、変な生きものの紹介。ひとつの生物につき見開き一ページ、左側が紹介文、右側がイメージ図、という構成。

たとえば、最新刊のとあるページを開けば、こんな紹介文が。


 

「ガンダムのメカなら絶対ボツ ファージ」


 

はい。

こんなのが、200ページ強×3冊続きます。

もう、理系力とか、文系とか、そういうことが関係ないレベルの、くだらない内容です(※褒めています)

堅苦しくなさは、紹介作品中随一と言っていいでしょう。

下手なギャグマンガより笑えること、必至。

このおもしろさは、おそらくここでは伝わらないので、とにかく読んでください。



余談ですが、「♪あったかいんだからぁ~」でおなじみ・クマムシを、だいぶ長い間『へんないきもの』のほうだと思い込んでいました。生物種としての方。

 

……いや、ゆるきゃらデビューしたのかと。

どうでもいいですね。


 

 

 



第3講:きっとまた、夏に読みたくなる。


 生物と無生物のあいだ


福岡伸一/作

講談社


夏休み、海へ行った人、挙手!



はい、うらやましいです。

ではもう1問。


 

そこの砂浜に落ちている「貝殻」と「石ころ」の違いを考えた人、挙手!


 

「……ん?なんのこっちゃ」と思いましたか?

この新書は、この問いを掘り下げます。


理系力の高い人は、海に遊びに行っても、目の付け所が違うんです。

文系男子諸君、カワイイ女の子を見ている場合じゃありません。



 

海辺に流れ着いた貝殻を見て、私たちがそれを「単なるカルシウムの塊」ではなく「かつて生きていたもの」と感じることができるのは、なぜだろう。

生き物の定義とは、何か。

生命とは、何か。



 

内容自体、研究史、研究者紹介としての側面もあり、また専門的な部分への説明も丁寧なので、生物基礎レベルの理系力でも、十分読めます。



この本の何よりの魅力は、文章としての面白さ

章題からして、もう、なんの小説だろう、ってくらいに、文学チック。ミステリチック。

以下、引用。


 


第1章 ヨークアベニュー、66丁目、ニューヨーク

第2章 アンサング・ヒーロー

第4章 シャルガフのパズル

第10章 タンパク質のかすかな口づけ



 

などなど。

言い回しが、いちいち、ちょっと気障で、でもそれが似合っているんです。

夏、海辺で、都会のカフェで、冷房の効いた部屋の窓辺で、ちょっと格好つけながら読みたい一冊です。


あの茂木健一郎氏も推薦してます。

 

 

 

 

 


第4講:リケジョ、なめることなかれ。 


 鉱物レシピ

~結晶づくりと遊びかた~


さとうかよこ/作

グラフィック社


表紙にキュンとした人、とりあえず買いましょう(※ジャケ買いしました)。

 


本を開けば、オールカラーで、幻想的な写真が盛りだくさんなんです。

豆本やペンダントの作り方も載ってるんですよ!

ビーカーとか試験管とかって、こんなにカワイイものなのか……!!と、とにかくそそります。理系趣味万歳。



でもそれだけじゃ、「理系モドキ感」が否めませんよね。

文系大生、ちょっとリケジョ気取ってみました、になりかねません。

「この本、理系力低くない?笑」と思った方、いると思います。



 

違うんです。



 

この本、タイトル通り、鉱物作っちゃいます。

作っちゃうんです。

 



たとえば、

 

蛭石の燃焼実験 材料:蛭石 一風変わった名前はインパクトが強く、ミネラルショーで見つけたときは、すぐに購入しました

 

とか

 

ビスマス結晶のレシピ 1:鍋でビスマスを溶かす。2:結晶育成用の器に溶けたビスマスを流し込む。……

 

とか。



カワイイ雰囲気に騙されてはいけません。

この本、ガチです。

流石です。紹介作品中、文系とっつきにくさ、ワースト1だけあります(※当社調べ)。


ナチュラルに初見単語が出てきすぎなんです。カルチャーショックです。一体どこの一般家庭に電気炉があるんですか。

……リケジョ気取ってごめんなさい。




作者さんは鉱物・理科趣味雑貨を販売する「きらら舎」のオーナー。

この本を読んで「実際にやってみたい!」と思ったら、そちらで開催される不定期ワークショップに参加してみてください。

カフェも営業しているそうですよ!


Twitterwebサイトもあります。

※トップ画像を引用させていただきました。




リケジョ、恐るべし。

 

 

 

 

 

 

第5講:1時間で宇宙が分かる。


 宇宙のはじまり


多田将/作

イースト・プレス

 

 

宇宙は如何にして始まったのか。

知ってどうなるという点では、この呆れるほど役立たずな問いに、にもかかわらず人類がその叡智を結集して探求してきた問いに、そしてだからこそもっとも学問らしい、最も究極の問いに、これからお答えいたしましょう。

 


このような前置きから始まるのは、「究極のもの」=「この世で最も大きいもの」と「この世で最も小さいもの」、についての、120分の講義の筆録です。


 

素粒子って、なに?

相対性理論って、なに?

宇宙のはじまりって、どんなかんじ?


 

こんな問いから始まって、果てはノーベル賞の理論だって、さくっと理解出来ちゃいます


嘘じゃありません。


さくっと、それはもう簡単に理解できちゃうんです。すごいよ多田さん(※著者。知り合いではない)。



第1章では、宇宙について考えるための基本的な理論についてのお話、第2章では、宇宙のはじまりについて考え、第3章では聴講者からの素朴な疑問に答えます。



手書き風のゆるーいイラストや例え話が多用されていて、文章全体も口語なので、早い人なら1時間かからずに読めるのも、魅力の一つ。雑誌のエッセイやコラムをイメージするとわかってもらえるかもしれません。



文系生にとってとっつきにくい、なじみのない、宇宙のはなし。

食わず嫌いにならずに、1度、手に取ってみてはいかがでしょう。





 

 

さてさて、長くなりましたが、いかがでしたか?

ちょこっと茶化しちゃいましたが、どの本も、本当に素敵なんです。自信をもってオススメします。


 

合言葉をもう一度。

「理系は友達、こわくない」。


 

授業もなく、比較的ゆったり過ごせる夏休みだからこそ、テストには出ない、いつもと違うコトに触れてみませんか?


 

 



高めよ、理系力。



 

 


この記事をシェアしよう!

あわせて読みたい