ミステリ学概論~おすすめのミステリ9選~

あなたの知らない世界が、そこにはあるーー。


どうもこんにちは、tomoです。

 

 

もうすぐ!

 

八月が終わり!!

 

九月が始まります!!

 

九月と言えばもうです。読書の秋です。

 

課題として課せられる本を読むのもいいですが、もし良かったらミステリを読んでみませんか?

 

 

 

「え、ミステリ?」

 

「コナンなら昔見てたよ」

 

 

 

なんて言う人がいるかもしれませんが、

 

 

 

 

 

違うんです!!!

 

ミステリは奥が深いんです!!

 

一度ハマったら抜け出せないくらい、奥が深いんです!!!

 

 

 

そこで今回はミステリ好きな僕が皆さんにジャンルごとにおすすめのミステリを紹介していきたいと思います。(記事ネタ尽きただけとか言わないで)

 

日常の謎

 

 

まずはミステリを初めて読むにあたっての入門としておすすめするジャンルが「日常の謎」です。

 

ミステリというと殺人事件が起きてそれを探偵が解決して……というものを想像しがちですが、謎があればそれはミステリなのです。例えば「ある生徒のポシェットがなくなった事件(米澤穂信著、春期限定いちごタルト事件、創元推理文庫)」といった日常で起こる謎や事件でも、それはミステリに分類されます。

日常の謎の起源は北山薫による空飛ぶ馬(創元推理社)で、今は古典部シリーズで知られる米澤穂信が有名ですね。

 

そんな「日常の謎」から僕のおすすめのシリーズを二つ紹介します。

 

一つ目は、「古典部シリーズ(角川文庫)」

「氷菓」から始まる、言わずと知れた米澤穂信の代表シリーズです。

個人的に好きなのは二作目の「愚者のエンドロール」です。

画像参照元:Amazon

 

 

もう一つは、同じく米澤穂信による「小市民シリーズ」です。

 

「春期限定いちごタルト事件」から始まるこのシリーズは、タイトルに必ず季節とその季節のスイーツが入っていています。現在春夏秋まで刊行されています。僕が好きなのは「夏期限定トロピカルパフェ事件」です。

画像参照元:Amazon

叙述トリック

 

続いては、叙述トリックを使ったミステリを紹介していきたいと思います。

 

 

 

しかしミステリを読み慣れていない人は叙述トリックがなんだかよくわからないと思います。

 

叙述トリックとは文章上の仕掛けによって読者のミスリードを誘う手法で、読者の先入観を利用し、誤った解釈を与えることで、読後の衝撃をもたらすテクニックです。

 

 

 

――と言われてもいまいちわからないと思うので、ここで一つ有名な叙述トリックのコピペを紹介します。

 

 

 

 

 

「この写真の男に何か見覚えはありませんか」

 

そう言われて差し出された写真を受け取る手がかすかに震える。

 

あや子はその眼を見た瞬間に6年前の忌々しい出来事を思い出していた。

 

かつては魅力的だとも勘違いしたずる賢い狐のような切れ長の眼、

 

高校時代の同級生、酒井慎一に間違いない。

 

今よりも40キロは太っていたあや子が、

 

卒業直前にひっそりと酒井の机の中に忍ばせたラブレターを

 

クラスじゅうにさらけ出し笑いものにした男だ。

 

「どうかいたしましたか」

 

「あっ、いえ……この人、何したんですか」

 

「区内で起きている連続コンビニ強盗の犯人です。

 

逃走に使ったと思われる原付が、まあ盗難車ですけどね、

 

それがこの辺りで見つかったものですから、目撃情報等あたっている最中です」

 

何度も同じ説明をしているのだろう、刑事はやや早口で面倒くさそうに説明した。

 

ケチな男。あや子は写真をまじまじとみつめながら考えた。

 

こんなにはっきりと顔が映っているのだから放っておいてもすぐに捕まるだろう。

 

だがこれは酒井に対してささやかな復讐を果たす絶好の機会、逃す手はない。

 

「見たことある、気がします」

 

「本当ですか。いつ、どこでですか」

 

「あの、このあたりでリヤカーを引いて空き缶とかを集めている人たちいますよね。

 

そういう人たちと一緒にいて、若い人もいるんだなって思ったので覚えているんです」

 

「そのホームレス連中と一緒にいた若い男がこの写真の男なのですね」

 

「すごく似ているって気がします。

 

直接そういう人たちに聞いてまわってみてはどうでしょうか」

 

「わかりました。ご協力に感謝します」

 

そう言って足早に去っていく刑事の背を横目で見送りながら、

 

あや子は思わず呟いた。

 

 

 

「捜査は足で稼げってね。せいぜいがんばって、酒井くん」

 

 

 

 

 

――分かりましたか?

 

 

 

これは「写真の男」が酒井君だと思わせておいて、実は警官が酒井君だったという叙述トリックです。

 

これ、どこにも写真の男が酒井君だという記述はないのですが、読者は先入観からそう思い込んでしまうのです。

 

思い込んでいた世界と実際の世界の乖離を目撃したときのカタストロフが叙述トリックの醍醐味です。

 

 

 

 

 

ここで僕がおすすめする叙述トリックのミステリを二つ紹介します。

 

 

 

 

 

一つ目は、乾くるみ著「イニシエーションラブ(文春文庫)」。

 

これは松田翔太x前田敦子主演で映画化されているため、タイトルを聞いたことがある人は多いと思います。初心者がはじめに読むべき叙述トリック作品の代表作です。

画像参照元:Amazon

 

 

二つ目は歌野晶午著「葉桜の季節に君を想うということ(文春文庫)」です。

 

これは僕自身が叙述トリックにハマるきっかけになった本で、複数の叙述トリックが絡まりあって真相が明かされたときの衝撃は筆舌に尽くし難いものです。

画像参照元:Amazon

多重解決ミステリ

 

それでは、少しミステリ上級者向けのジャンル、「多重解決ミステリ」を紹介したいと思います。

 

 

 

多重解決ミステリとは、事件の真相が複数提示され、「何故他の推理は間違っているのか、何故この推理は正しいのか」などを論理的に証明/反証していくミステリです。とにかくロジックの応酬を楽しむジャンルで、ミステリが好きではないと読んでて苦痛になりますが、ミステリが好きな人なら絶対に面白いと感じるジャンルです。

 

 

 

 

 

それではおすすめの多重解決ミステリのシリーズを三つ紹介します。

 

 

 

一つ目は相葉雅紀主演でドラマ化もした、麻耶雄嵩著「貴族探偵集英社文庫」シリーズ。特に二作目の「貴族探偵対女探偵」は、女探偵の推理を貴族探偵が覆す、という多重解決モノの形式をとっているため、より緻密なトリックを楽しみやすいです。

 

また「貴族探偵」に収録されている短編「こうもり」は今までにはなかった新しい叙述トリックの技法が使われているため、叙述トリックに読み慣れた人で新たな衝撃に出会いたい、といった人におすすめです。

画像参照元:Amazon

 

 

 

二つ目は井上真偽著「その可能性は既に考えたシリーズ(講談社ノベルス)」です。

 

このシリーズは通常の「探偵が事件の真相を解明する」という形式とは異なり、「探偵が『事件の真相が奇跡であることを証明するために起こりうるすべての可能性を否定する』シリーズです。出される事件の仮説をことごとく主人公の探偵が反証していき、また探偵の反証すらもライバルキャラによって反証されて……とロジックのオンパレードのこのシリーズ。ロジックの醍醐味を味わいたい人は必見です。

 

読んでいて作者の頭の良さをひしひしと実感できます。 (作者は東大卒)

画像参照元:Amazon

 

 

 

 

そして最後は再び麻耶雄嵩著「神様」シリーズです。

 

一作目の「神様ゲーム(講談社文庫)はもともと児童書のレーベルから出たものなのですが……

 

 

 

侮ることなかれ

 

 

 

これは子供が絶対に読んじゃいけない、というか高校生くらいになるまで読んでも理解できないであろう、「ヤバイ」ミステリなのです。

画像参照元:Amazon

 

 

続編の「さよなら神様」は「ヤバさ」が少しは軽減しているもののやはり健在、そしてロジックがさらに凄まじいことになっているのでこれも必見です。

その他珍しいジャンルのミステリ

 

ここでは、上記のようなジャンル分けのできない珍しいジャンルのミステリを紹介していきたいと思います。

 

 

 

 

 

まずは新鋭メフィスト作家、早坂吝による「エロミス」シリーズである「らいちシリーズ(講談社ノベルス)」(ちなみに早坂吝は「貴族探偵」シリーズや「神様」シリーズの麻耶雄嵩の後輩です)。

 

「援交探偵」が主人公のミステリシリーズで、とにかくエロいです。

 

デビュー作である「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件はエロミスという新しいジャンルかつ「タイトル当て」という斬新な読者への挑戦で読者のド肝を抜かしました。

 

続く「虹の歯ブラシ」は今までに見たことがない新鋭本格ミステリとエロを共存させ、シリーズ三作目の「誰も僕を裁けない」は法律や正義といった社会派テーマとエロを共存させるばかりか両者が絡まりあったミステリになっていて、今まさに目が離せないシリーズです。(四作目「双蛇密室」は未読です。すみません)

シリーズの中で特に僕がおすすめするのは「誰も僕を裁けない」です。このシリーズはどの順番で読んでも楽しめるため、初めて読む場合はまず「誰も僕を裁けない」をおすすめします。

画像参照元:Amazon

 

 

続いては先ほど紹介した「その可能性はすでに考えた」シリーズの井上真偽のデビュー作、恋と禁忌の述語論理(講談社ノベルス)」。これは過去に起きた事件について論証する、という多重解決ミステリなのですが、ただの多重解決ではなく、数理論理学を使って事件の真相を演算していく、数学ミステリなのです。

 

理系ミステリの元祖と呼ばれる森博嗣著「すべてがFになる(講談社ノベルス)」は第1回メフィスト賞受賞作で、この作品は第51回メフィスト賞受賞作。(ちなみに先ほど紹介した「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」は第50回受賞作

理系ミステリもここまできたか……!と叫びたくなります。

画像参照元:Amazon

 

その他、「エウレカの確率(講談社)」の経済学ミステリや「ビブリア古書堂の事件手帖(メディアワークス文庫)」のビブリオミステリなど様々なジャンルのミステリがあるので、是非これらも読んでみて下さい!

まとめ

 

いかがだったでしょうか?

 

かなり僕の好みが反映された偏った紹介になってしまったのですが。どれも面白いことは保証します。

 

 

 

是非一度は本屋に立ち寄って、ここに挙げられたミステリを読んでみてはいかがですか?

 

 

 

ちなみに今回紹介したなかで僕が一番おすすめするのは、麻耶雄嵩著「神様ゲーム」です。

なので、「いっぱい紹介されたけど結局どれ読めばいいんだ?」って人は神様ゲームを読んでください。絶対に衝撃を受けるはずです。

 

それではまた会いましょう。くそ長い記事を読んでいただきありがとうございました。

 

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