VFX講演会に行く前にぜひ一読を。
こんにちは!たびたび映画関連の記事を寄稿させてもらっているはっしーです!
いよいよ明日わが大学最大のイベント一橋祭の最終日ですね!なかでも明日西本館31番教室にて14:00〜15:50に開催される、20世紀少年のVFXを製作したエヌ・デザインさんによる講演会(詳しくはこちら)は個人的に大注目です。どのようなお話が聞けるのか、いまから楽しみですね~。絶対行かなきゃですよ!
今回は講演会に行く前の予習として、VFXに着目しながら最近公開された映画を紹介してみたいと思います。
その前に、話はいきなりアメリカに飛びます。先日開催されたポップカルチャーの祭典「ニューヨーク・コミコン 2015」にてKADOKAWAが人気シリーズ「ガメラ」の新作プロジェクトを発表し、同時にフッテージも公開しました!
世界一有名なデカイ亀(動画より画像引用)
なぜかギャオスに追い回されているクドカン(動画より画像引用)
じゃあこのニュースが冒頭のお話にどう繋がるのかというと、この映画はハリウッド映画のようにフル3DCGで東京の街中で暴れまわる怪獣のシーンを撮るということが明らかにされたからです!これまではウルトラマンを思い出してもらえれば分かるように、中に人が入る着ぐるみとミニチュアでそういう映像を作っていましたので、大きな変化です。これには日本中のオタクたちもビックリして鼻息を荒くしていました。
興味がない人にはさっぱりな話題かもしれませんが、あの伝統的な特撮映画が3DCGによる製作に方向転換したということは、とにかく邦画界の映像表現にも大きな変化が訪れているということです!よく考えてみると最近映画館でみる作品もたくさんのCGや合成技術が使われています。
まずVFXとはVisual Effectsの略で、CGやデジタル合成によって表現される特殊視覚効果のことです。最近ではわりとどの映画でも、さりげなく、気付かないように使われていたりします。ハリウッドの話になりますが、デヴィット・フィンチャー監督なんて撮影時の素材にCGで手を加えて曇りを晴れにしてみたり、背景に映りこんだ木の枝を増やしてみたり、窓枠の形を変えてみたり、わりとどうでもいいところに手を加えているので見た目以上にカネがかかっています。いまや予算と時間さえあればVFXを使ってほとんどなんでも思った通りの映像を作れちゃうわけです。
同監督の秀作「ゴーン・ガール」VFXメイキング。本編を見た後だと「そこCGかよ!」ってなることうけあいのビックリ映像です。
前置きが長すぎました。やっと本題に入ります。いきなり映画館での上映が終わりかけてる作品ですが、せっかくなので今夏公開作品でエヌ・デザインさんがVFXをメインで担当している「天空の蜂」を紹介したいと思います!
(画像引用元:映画.com)
作品概要:人気作家・東野圭吾が原子力発電所を題材に1995年に発表した傑作小説を、堤幸彦監督が映画化した社会派サスペンス。最新鋭の大型ヘリを手に入れたテロリストが、日本全国の原発の停止を求め稼働中の原発上空でホバリングさせるテロ事件を描く。困難な直面に立ち向かうヘリコプター設計士を江口洋介、原子力機器の設計士を本木雅弘が演じ、初めての共演を果たす。東日本大震災による原発事故を経験した日本において、改めて社会と人間の在り方を問う衝撃作。(シネマトゥデイより)
長いので超ザックリ要約すると、ビッグBとかいうアメリカ版ジャイアンみたいな名前の巨大新型ヘリがテロリストに奪取され、日本全国の原発の稼働停止を求める兵器として利用されてしまうというお話。東野圭吾の小説を原作として、“核の平和利用”“平和国家日本”という欺瞞に隠された我が国の矛盾を突いた作品になっておりますが、ここでは作品の細部とか政治的メッセージには立ち入らず、VFXに注目してみたいと思います!まずは本編映像の一部を紹介した以下の動画をご覧になってください。
どうでしょう!?迫力ありますよね!!
これがまた映画館の大きなスクリーンで見ると臨場感や緊張感も違ってきます。原発の上をホバリングするヘリをどう除去するのかがこの作品の肝ですから、しっかり説得力のある映像が作れないと一気にこのアクションシーンは陳腐化してしまいます。VFXも当然大きな役割を果たしているワケです。
本編に登場する自衛隊のヘリは実在するのでCGで作成するのもそれほど難しくはなく、実写シーンでは民間用のレンタルヘリを改造して撮影を行ったそうです。一方、ビッグBは当然架空のヘリなので一からモデリング。ビスの一本までこだわり、製作には一か月以上かけています。実写の撮影のため、キックピットや格納庫は実物大のセットが作られました。
そしてビッグBの飛行する背景に映る原発「新陽」もまた架空の施設です。こちらも横須賀のごみ処理施設の図面をもとにモデリングし、まったく違和感のない仕上がりになっています!
(画像引用元:VFX映画批評)
(格納庫のセット)
なぜか蝉もCGで作成(画像引用元:CGWORLD)
この作品のVFXに関する記述は以下のサイトを参考にしました!専門情報サイトなので難しい横文字がたくさん並んでいますが、詳しく知りたい方はぜひご覧になってください(一部本編のネタバレあり)
http://www.rm.is.ritsumei.ac.jp/~tamura/sfx/sfxv_content778.html
http://cgworld.jp/regular/201509-vfxanatomy-cgw206.html
もうひとつ紹介したいのが、大人気漫画原作のこの映画!「バクマン。」です!
(画像引用元:映画バクマン公式HP)
作品概要:「DEATH NOTE」の原作コンビ、大場つぐみと小畑健によるテレビアニメ化もされた大ヒット漫画を、『モテキ』などの大根仁監督が実写映画化した青春ドラマ。性格の違う高校生2人がタッグを組み漫画家への道を歩んでいくさまを、大根監督ならではの巧みな映像表現を駆使して描く。週刊少年ジャンプでの連載を目指して日々奮闘する漫画家コンビには、佐藤健と神木隆之介。実在の漫画作品や出版社が実名で登場するほか、劇中使用される漫画の原稿を小畑自身が描いている。(シネマトゥデイより)
改めて説明するまでもないですね!ご覧になった方も多いはず。サイコーとシュージンのふたりが日本一の週刊漫画雑誌「少年ジャンプ」に乗り込み、頂点目指して頑張っちゃうお話です。ヒロインの亜豆さんが若干空気ですが、まさしく友情、努力、勝利!な映画で原作ファンならずとも楽しめると思うので、ぜひご覧になってください!まだまだ映画館でやってますよ!
そんでこの映画のどこがVFXの話と関係してくるかというのは、以下のトレイラーを見るとよくわかります。
(画像引用元:CGWORLD)
“金知恵”を連載するサイコー&シュージンペアと“CROW”で快進撃を続けるエイジがジャンプの人気順位投票で勝負する様をまさかのアクションで表現。ペンで、物理的に戦っています。また漫画で多用される集中線やスクリーントーンなど二次元的エフェクトが三次元空間に浮かび上がってきます。さながらチャンバラバトルです。不殺の誓いは守られているのでしょうか!?
このシーンはどうやって作っているのかというと、実写で撮影した素材の上に後からCGでエフェクトを追加しています。“金知恵”と“CROW”の人気順位投票のバトルをアクションで表現するのは当初から決まっていたものの、実際どういった絵作りにするのか決めるには念入りな打ち合わせと作業の積み重ねがあったそうです。まず絵コンテを描いてアイデアのすり合わせを行い、構想が固まったらスタッフを役者に見立てたテスト映像を作り、細かい微調整を行った上でやっと本番の撮影に挑むわけです。表現手法としてはモーショングラフィックスと呼ばれるものです。そのまま、二次元のグラフィックを三次元的に動かすことですね。ニュース番組のカッコいいロゴも似たような感じです。
(画像引用元:CGWORLD)
次にこのシーン。漫画を描いている周りでコマや吹き出しがフワフワ浮かび上がってきます!サイコーとシュージンの頭の中で作品が組みあがっていく様子を直接のぞき込んでいるかのようです。本作は漫画家高校生の物語なので当然漫画を描くシーンがたくさん出てくるわけですが、その作業自体は非常に地味なものです。そのまま映しても面白くないし退屈。そこで、このような表現を使ってダイナミックで見ごたえあるものにしているわけです。
このシーン、実はただのCGじゃないんです。
なんと、プロジェクションマッピングで作っているんです!
ディズニーランドのワンスアポンアタイムでお馴染みのあれですね。
(画像引用元:ディズニーランド公式HP)
普通のプロジェクタは平らなスクリーンを用意し、そこに光を当ててプロジェクション(投影)するわけですが、プロジェクションマッピングではこれにマッピングが加わり、特に立体的な対象物にも照準を合わせ、物の形と映像をぴったり重ねたりすることができるのです。最近日本でもはやり始めていろんな屋外ショーなどで使われています。日本ではどうか僕は知りませんが、アメリカでは舞台でファンタジーの世界観を表現するのにつかわれています。映画で本格的にプロジェクションマッピングを使った例はおそらく今回が初めてではないでしょうか?
浮いてる!(画像引用元:CGWORLD)
当然、このゴチャゴチャした作業部屋に映像を投影させるのも簡単なことではなく、綿密な計算と準備が必要とされます。たとえば床は不自然にならない程度に白くして映し出された絵などが見えやすくなっています。普通に見てたら気づきませんね。そして驚くべきことに、これらの映像は後からCGで手を加えたりせず、撮影時そのままの映像であるとか!意外すぎるほどアナログです。
ちなみに「バクマン。」をすでに見た方はほぼ全員がビックリしたであろう例のエンドロール、これから見る方に新鮮な驚きを感じてほしいのでここでは詳しく触れませんが、あれも実はすべてCGで作られているそうです。実写とCGの見わけもだんだんつきづらくなってきましたね!
「バクマン。」の記述も以下の記事を参考にしました(こちらも一部本編のネタバレあり)。この連載、かなり興味深い内容になっているのでぜひほかの記事もチェックしてみてください!
http://cgworld.jp/regular/201510-vfxanatomy-cgw207.html
いかがでしたか!?冒頭でガメラの話をしましたが、じつは来年は怪獣王ゴジラの新作も「シン・ゴジラ」というタイトルで公開予定です!主演は長谷川博己、石原さとみ、竹野内豊の3人。着ぐるみとミニチュアを使った伝統的な特撮で表現されるのか、それともガメラのようにフル3DCGでモデリングするのかまだ発表されていないので、どちらの表現で新しいゴジラを見ることができるのか、楽しみに待ちましょう!
【企画詳細】
映画のCGや合成処理のすべて〜そこにもVFXは使われている〜
開催日時:11月3日(火・祝)14:00~15:50
開催場所:西本館31番教室
無料・予約不要
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